会社の議決権

当たり前の話ですが、会社の所有者は株主です。
取締役は株主から経営を任されているというのが本来の姿ですね。
ほとんどの中小企業では所有と経営が分離されていないため、中小企業の社長様 ≒ 株主(会社のオーナー)となっていて実感が無いかも知れませんが、上場企業に置き換えてみるとわかり易いと思います。
会社の経営や事業承継をしていく上で、時に重要な検討事項となりえる議決権について確認してみましょう。

株主の権利を確認!!

株主とは、
株式会社の株式を保有する個人や法人をいい、会社の出資者としてオーナーの立場になります。
原則として株主名簿に記載されている事が株主としての権利を主張するためには必要で、「株主平等の原則」により持ち株数に応じた権利を有することになり、出資金額を超える責任を負わないという「株主有限責任の原則」などがあります。

株主の権利

自益権

直接的な経済的利益の享受を目的とする権利
一株でも所有していれば行使できる単独株主権

剰余金配当請求権、利益配当請求権、残余財産分配請求権、新株引受権、株式買取請求権など。

共益権

会社経営への参画を目的とする権利でいわゆる経営参加権
一定数以上の株式を保有する株主でなければ行使できない権利もあり、会社法において規定があります。

株主総会における議決権、会社組織に関する行為の無効の訴え、株主代表訴訟提起権、計算書類等の閲覧請求権など。

※一部ウィキペディアより抜粋しております。

議決権とは?

通常、株式は1株につき1つの議決権(種類株式の説明は割愛)があり、保有比率が高くなるほど会社の経営に影響力を持つことになりますから、お金や現物をより多く出資した人が、会社経営に対してより多くの発言権を得ることになります。
会社経営を安定させるには、発行済み株式の100%を所有すれば、経営の意思決定の全てを自由に決定できますし、全てを所有しなくても2/3以上保有すれば、ほとんど全ての意思決定が可能となります。
一般的には、オーナー一族で50%以上、より安定させるためには2/3以上の株式を保有する必要があります。

平成2年の商法改正(平成3年4月1日施行)により、株式会社設立時の発起人の人数を、7人以上から1人以上とする一人会社設立が認められたので、社歴の短い会社は社長様が全ての株式を所有していることが多いのですが、共同経営や第三者に出資をしてもらう場合は、議決権比率=経営権の確立は検討の余地ありです。
社歴が長い会社の中には、現経営者や後継者以外の親族が株式の一部を所有しているのを見かけることがあります。
平成バブル期には含み益課税を回避するために、株式の親族内贈与がよく行われましたが、デフレ経済下の昨今では税務対策面でも株式の集約化に変化しており、親族内に分散した株式をどのように集約するかに頭を悩ます経営者の方も多くいて、会社の資本政策や組織再編などを実行しようとする際に、親族内少数株主の扱いに苦慮する事が幾度もありました。
会社法に合わせた定款の見直しにより、少なくとも「譲渡制限条項」や「相続人に対する売渡請求条項」を折り込んだ方が、次世代にリスクを承継せずに済むと思いますので、気になった方は定款の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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