【利益を繰り延べろ!】「中小企業倒産防止共済」の節税効果と見落としがちな注意点

決算期が近づき、「今年は利益が出そうだ」「何か良い節税策はないか」とお考えの経営者の皆様。

節税の王道であり、利益の圧縮(繰り延べ)効果が非常に高い制度として知られるのが、「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」です。

これは、もしもの時の「共済金」というセーフティーネットであると同時に、支払った掛金全額を損金(経費)として計上できるという、非常に強力な節税ツールです。特に、年内に利益を確定させたくないという企業にとって、これほど強力な制度はありません。

しかし、この共済は「出口戦略」を誤ると、せっかくの節税効果が帳消しになり、大きな納税負担を強いられるリスクもはらんでいます。

この記事では、税務のプロとして、倒産防止共済の最大限の節税効果を得る方法と、必ず知っておくべき3つの注意点を解説します。

1. 倒産防止共済の「強力な節税効果」とは?

倒産防止共済の最大の魅力は、その「利益の繰り延べ」機能にあります。

・全額損金算入

 支払った掛金は、その期の全額が損金(法人税法上の経費)として認められます。

・最大の掛金

 毎月最大20万円、年間で最大240万円まで掛金を積むことができます。

・積立限度額

 総額で最大800万円まで積み立てが可能です。

例えば、利益が1,000万円出た期に、掛金をまとめて240万円支払えば、課税対象となる利益を760万円まで下げることができます。これは、単なる節税ではなく、キャッシュフローを改善しつつ、資金を社外にプールできる賢い方法です。

2. 年末までに駆け込みで加入・増額すべき理由

この共済は、「掛金を支払った日を含む事業年度」で損金に算入できます。

・一括前納の利用

 年間の掛金(最大240万円)を、期間の途中で一括で前納(まとめて支払い)することが可能です。

・年内申込のメリット 

 決算期が12月や3月の会社の場合、年内や年度末の駆け込みで最大240万円を損金に算入できるチャンスがあります。

3. 見落としがちな「3つの注意点」と出口戦略

この共済の真の難しさは、解約時にあります。解約して手元に戻ってきたお金(解約手当金)は、その期の「益金(収益)」として全額課税対象となるからです。

注意点1:解約時の「益金算入」で納税が集中するリスク

共済を解約して800万円が戻ってきた期に、その800万円を利益として計上しなければなりません。解約金を戻す時期を、赤字が出そうな期や、大きな設備投資(多額の経費が発生する期)を行う期に合わせるなど、綿密な「出口戦略」を立てることが不可欠です。

注意点2:40ヶ月未満の短期解約は「元本割れ」のリスク

加入後40ヶ月(3年4ヶ月)未満で自己都合解約した場合、支払った掛金総額よりも解約手当金が少なくなり、元本割れを起こします。節税のために無理に加入し、途中で資金繰りが悪化して解約することのないよう、無理のない範囲での掛金設定が重要です。

注意点3:法人税上の「みなし解約」の可能性

倒産防止共済を解約する際は、「解約手当金を全額収益として計上すること」が原則です。もし、解約金を使ってすぐに役員報酬を増やしたり、使途不明金にしたりすると、税務署から「みなし解約」として利益操作と見なされ、厳しい追及を受ける可能性があります。

4. 専門家と始める「出口」まで見据えた節税対策

倒産防止共済は、使い方さえ間違えなければ非常に優れた制度ですが、「単に利益が出たから掛金を払う」という場当たり的な対応は非常に危険です。

プロのサポートの必要性:当税理士事務所では、お客様の中長期的な経営計画と資金繰り、将来の設備投資計画までを考慮に入れ、最適な掛金設定と解約タイミングのシミュレーションを行います。
納税のプロフェッショナルとして、「出口」で損をしない倒産防止共済の活用法を共に考え、実行しませんか?年内の駆け込み対策も、まだ間に合います。

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