そうわ通心 9月号
社会とのかかわり方
東京オリンピックが閉幕し、八月も後半に差し掛かってきました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年の夏も旅行に行くことは難しそうです。外出をする代わりに映画やドラマを見るなど、ゆっくりとおうち時間を楽しむ夏休みにしたいと思います。
リモートワークになって通勤や移動時間もぐっと少なくなり、時間が有効に使えるようになりました。その反面、なぜか時間に追われることが多くなった気がしています。リモートでの打ち合わせを気軽に増やしてしまったことに加えて、以前は通勤などの移動時間を隙間時間としてむしろ有効に使えていたのかもしれませんね。
この一年でリモートワークが進み、新たに人と出会う機会もほとんどなくなりました。家族と暮らしている方はまだしも、一人暮らしをしている方はますます人と会う機会が減り、いざ人と対面したときにコミュニケーションの取り方に不安を感じることもあるでしょう。また、孤独な生活に慣れてしまったことで、何か困ったときに誰に相談すればいいのかわからなくなってしまった方もいると思います。私個人としても、マスクで人の表情を読み取りづらい環境で成長した子供たちが今後どのようなコミュニケーションを取っていくのか、一人の親として不安を感じているところです。
コロナ禍において、社会とのかかわりをどのように築いていくのか、一人の孤独さをどのように癒すのか、という問題はたびたび取り上げられてきました。しかし、ネット上で趣味や価値観の同じ人達同士のコミュニティがどんどん増えているなど、現代では新しい形の人間関係が構築されつつあります。このような問題が杞憂で終わることを願うばかりですね。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。
代表社員 益本 正藏
年末調整手続の電子化
国税庁が年末調整手続の電子化ツールを令和2年分の年末調整から無償で提供するなど、デジタル社会の実現に向けた動きがここでもみられます。令和3年分の年末調整を前に、この年末調整手続の電子化について確認します。
1. 年末調整手続の電子化
年末調整手続の電子化とは、事業者と従業員等に課せられる源泉所得税の精算手続の一連の手順をデータ処理することをいいます。
電子化を行うことによる主な変更点は、次の通りです。
2. 電子化によるメリット
年末調整手続の電子化を行うことによる、主なメリットは次の通りです。
【事業者側】
- データで取得することで控除額の正否の確認(検算)が不要になる
- 控除証明書等をデータで取得することで、添付書類の確認が不要になる
- 記載漏れや記載誤り等の確認が不要となる
- データのまま保存することで書面の保管場所の確保等が不要となる
【従業員等側】
- 手続による手間が削減できる
- 控除証明書等をデータで取得することで、転記誤りや控除額の計算誤りを防ぐことができる
- 控除証明書等を紛失した時の再発行手続きの手間が不要となる
- 控除対象か否かの判定をする必要がない(情報を入力するだけで自動判定してもらえる)
- データでの提出のため出社や郵送等の必要がない
年末調整手続きの電子化を行うことによる、主なデメリットは次の通りです。
【事業者側】
- どの部分を電子化するか事前検討が必要となる
- 電子化に必要なソフトウェア等の準備が必要となる
- 従業員等への周知が必要となる
- 必要に応じて従業員へマイナンバーカードの取得依頼をする必要が生ずる
- 団体扱い保険がある場合には、事業者側でデータを取得してインポートする必要がある
- データを保管しておく場所が必要となる
【従業員等側】
- 必要に応じてマイナンバーカードの取得が必要となる
- 控除証明書等をデータで取得するためには、事前に保険会社への手続等が必要となる
- 国税庁の無償ソフトを利用する場合は、自分でダウンロード等の準備が必要となる
- データ等を取得するための専用サイト等へ、自らがアクセスする必要がある(書面であれば、勝手に郵送されてくるため自ら動く必要がない)
年末調整手続の電子化については、すべてを電子化する必要がない他、すべての従業員等が対応する必要もありません。“いいとこどり”ができる点もメリットの1つといえるかもしれません。
参考: 国税庁HP「年末調整手続の電子化に向けた取り組みについて」https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm ほか
傷病手当金の通算や育休中の社会保険料免除に関する法改正
2021年の通常国会で、健康保険法や厚生年金保険法の改正案が成立しました。対象となる従業員への影響が大きな内容を含みますので、改正点を確認しておきます。
傷病手当金
施行日:2022年1月
健康保険の傷病手当金は、支給が開始された日から起算して、最長1年6ヶ月まで支給されます。この1年6ヶ月の間に、一時的に就労した期間(傷病手当金が不支給となる期間)がある場合には、その就労した期間も含めることになっています。
近年はがん治療など、療養のため長期間休みながら働くケースが増えてきています。こうした状況に対応し、治療と仕事の両立を実現するため、就労した期間は含めず、傷病手当金が支給された期間を通算して最長、1年6ヶ月間、支給されることとなります。
育休中の社会保険料免除
施行日:2022年10月
育児休業中は、申し出により社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)が免除されます。この免除となる基準が見直され、以下の通りとなります。
1、育休を取得する月にかかる社会保険料
月末時点で育休を取得しているときは、その月の社会保険料が免除される。これに加え、育休の開始日の属する月は、月末時点で育休を取得していないときでも、その月中に2週間以上育休を取得していれば社会保険料が免除される。
2、賞与にかかる社会保険料
月末時点で育休を取得しているときは、育休の取得日数に関わらず、その月に支給される賞与にかかる社会保険料が免除されていたものが、今後は育休を取得する期間が1ヶ月を超える場合に限り、免除される。
任意継続被保険者制度
施行日:2022年1月
従業員は、退職した後でも一定の要件を満たせば、任意継続被保険者として退職前に加入していた健康保険の被保険者となることができます。
任意継続被保険者が負担する健康保険料は、会社が負担していたものを含めてその金額を負担します。この保険料の算出根拠について、「従前の標準報酬月額または全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額」となっていたものが、健康保険組合は規約で、従前の標準報酬月額とすることができるようになります。
また、任意継続被保険者の資格の喪失について、任意継続被保険者からの申請によりできることとなります。
育休中の社会保険料免除は、これまで以上に期間の管理が重要になります。また改正点について、従業員からの問合わせも想定されます。詳細な情報を今後確認していきましょう。
9月は台風などの発生が増える時期です。
防災や安全対策の見直しを図り、万が一に備えておくことも大切です。
01社会保険料 定時決定結果の反映 (9月より)
7月に提出された算定基礎届などに基づいて、9月からは新たに定時決定された標準報酬月額を使用することになります。新しい標準報酬月額に基づいた保険料は、9月分(10月末納付)からです。従業員の給与からの社会保険料控除(翌月控除、当月控除)については各々の取扱いをご確認ください。
02地域別最低賃金の改定額の公示
10月1日以降に発効される2021年度の地域別最低賃金が公示されます。都道府県ごとに改定額と発効年月日が異なるため、確認の上、自社の従業員について最低賃金を下回る設定になっていないかを調べるようにしましょう。
03障害者雇用支援月間
9月は障害者雇用支援月間です。現在、民間企業における障害者の法定雇用率は2.3%となっていますが、法定雇用率を満たしていない企業では、障害者雇用に向けて採用活動を強化していきましょう。
04防災や安全対策の見直し
防災対策
9月1日は防災の日。台風シーズンで、風水害が多発する季節でもあります。防災対策の見直し機会と捉えて、再点検しましょう。
交通安全運動
9月21日から30日にかけ、秋の全国交通安全運動が行われます。最近では自動車に限らず、自転車の交通安全に関する取り組みも進められています。一部の地方自治体では自転車損害賠償保険の加入義務化を条例で定めています。業務や通勤で自転車を利用する場合は、この機会に安全運転の徹底と保険加入状況の確認をしていきましょう。
編集コラム
一年延期した後の東京オリンピック・パラリンピックですが、緊急事態宣言下で色々な問題を抱えながらも実施されました。
選手の皆様には気の毒な状況ではあるものの、そこを目標として頑張って来られた成果発表の場と考えれば応援したくなるのが心情。ですが、自宅でじっくり観戦したいなぁと思っても、長男の「おさるのジョージ」鑑賞の熱意に負け、ほとんど観ることがかないませんでした。
写真は妻が撮ってくれたオシャレな写真。弟は妙に傾いていますが、なかなかサマになっています。
事業部 小山 慧
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